“紫陽花なないろ”
5
今にして思えば、
ブッダは まだ、あの指輪を“失くした”と思ってはいなかったのかもしれない。
どこだか判らないところで見失ったわけでもなければ、
粉砕されるかどうかして
存在としてその手へ取り戻せぬほど徹底的に消えて無くなったわけでもない。
このフラットの中で見失っただけで、此処のどこかにあるには違いないのだから、
丹念に探せばすぐにも見つかって手元へ取り戻せると、
そしてそうである内は“無くした“という段階ではないのだと、
そんな把握でいたようであり。
『何で私、
あの守り袋の中に見当たらないって気づいた時に
わあ どうしようって慌てたり、
何処に行ったんだろうって口走ったりしなかったんだろか。』
あれかな、
いつも…は言い過ぎかもしれないけど、
イエスが失せものするたびに大騒ぎをして、
そんなキミへ お兄さんぶって
ちゃんと整頓してないからだよってお説教とかしていたから。
そんな自分が何をしているのだと恥かしくなって
見栄とか張っちゃったのかしら なんて、
照れくさそうに口にしたのは後日の話で。
なんてのかな、
自分以外の誰かに知られるまでは
事態を浮かべた時間の流れも動かないままだくらいの感覚?
“私に知られたら怒られるとか呆れられるかもとか、
まるで考えてなかったみたいだしね。”
それもまたどうかと思うよな直截さ、
一応、そうと直接イエスが聞いたらば。
だがだがブッダの側もまた、
何の話か理解が追い付いていないというお顔でいたくらい。
“だから…。”
他でもないご本人が一向に諦めていないのだから、
イエスがちょっぴり考慮したような
うっかり失くしたなんて失態が発覚したら、
贈り主のイエスから どう思われるんだろうか
なんてことは、
まだ失くしてないんだもんとばかり、
まだまだ毛ほども憂慮していなかったのだろうと思われる。
そして、
“ああもう、キミってば。//////”
世はすべて諸行無常じゃなかったの?
形あるものは いつか壊れたり滅びたりするし、
人の想いでの中の記憶もまた 少しずつ風化するもの。
そうなることを嘆いたり、
そんな将来を今から恐れて、悲しみ苦しむくらいなら、
いっそ最初から何物へも執着しなければいい。
数多の欲や煩悩を抱えるから、失ったときを恐れるあまり辛くなるのだと。
いささか乱暴な解釈かもしれないが、
そんな風に執着薄く構えることで、
どんな時でも沈着冷静でいられたキミなのに。
そうまでの悟りに目覚めたはずの如来様を、
今の今、大きに動揺させているのが
他でもないこの自分への気持ちのせいなのが、
どうしようか、彼をずんと困らせているというのに
凄く嬉しいと思えてやまない私のバカバカバカと。
懐ろの中、掻い込んだままでいた愛しいお人の
含羞みのせいもあろうか甘く匂い立つ温みを堪能していたのだが。
「…うん。
イエスに隠れてこそこそと探す必要もなくなったことだし。」
イエスにも現状が知られてしまっても、
それならそれでとこんなことを言い出した如来様。
深色の髪をさらさらと揺らし、
こちらへと視線ごと上げてきた麗しのお顔は、
少しほど落ち着きを取り戻していたようでもあって。
やっとのこと、いつもの彼らしい張りのある表情が戻ってきたようなので、
イエスの側としてもそこは嬉しい限り。
「そうだよ、今から二人で探してみようよ。」
見つからなくても一向に構わないけれどと、
胸のうちにてこそり呟いたのは、イエスなりの思いやり。
でもでも、勿論
そんな言いようは親切とは到底言えぬ。
困っているブッダを前にして、でも、
無性に嬉しくてならなんだ、そんな自身の気持ちの矛盾に困ったくらいで。
そういう機微は何とか判っていたから、あのね?
実際には言いもせずに通し、
切れ長の目許をややたわめて最愛の如来様へ微笑みかければ、
「……。////////」
ふんわり白くて儚げな、淡雪餅みたいな頬を染め、
深瑠璃色の瞳を微妙に見開いたブッダ、
何がお気に召さなかったか口許をうにむにとたわめて視線を揺らしたものの、
含羞みからの戸惑いも刹那の動揺、
“もうもう、イエスったら…。///////”
相手をどれほどドキドキさせるか自覚してほしいような、でも、
判ってないからこそ振りまかれる、この甘いイケメン顔は
実際、ブッダにとってもとてもとても楽しみでもあるのだし、と。
こちら様も胸のうちだけの主張にとどめたらしく。
「? ブッダ?」
「なんでもないよ。//////」
どうしたの?と問われたのへフリフリとかぶりを振ってから、
そのまま えいと瞬き一閃。
ほどけてしまった髪を一瞬にして螺髪に結い直してしまう。
そんな態度でもって気持ちの切り替えも完了という様を見せたブッダへ、
「じゃあ、心置きなく探してみよっか。」
まるで年端のゆかぬ弟子への
“よく出来ました”を思わせる柔らかい微笑いよう、
愛しいお人へ降りそそぎ、
「…っ。」
またもや胸がどきりと弾んだらしき、
目の見張りようをしたブッダの隙を衝くように。
そんなお顔を近寄せて軽い軽い“ちう”を降らせたのは、
……この際 悪ふざけぽかったが。(笑)
「いえす〜。//////」
「さあさ、探そう、探そうvv」
そうそう。
そっちはまだ六月の末だが こっちはもう真夏なんだ、(自嘲)
いつまでいちゃついとるんだと場外からもせっついて。
ブッダの側が背中を預ける格好になってた流し台の前から、
イエスの側のすぐ背後、居室である六畳間の方を二人して見やる。
そのままどちらからともなく畳の間へと足を進め、
長身の二人して、まずはと視線を向けたのが押入れのふすまだったが、
「う〜ん。」
ブッダの証言によれば、
一週間前の宵の口、銭湯から戻ってきていつものお守り袋を覗いたら
そこに指輪が入っていなかった…ということだから。
何に気を取られたものやら、
仕舞うときにうっかりと手をすべらせ、取り落としたことが推察されて。
整理ダンスを置いているのは上の段だが、
その手前や周辺の余白部分はすぐにも見回せる範囲なだけに、
ブッダだとて はっとしたそのまま重々検分したことだろう。
「この一週間は
あんまりお天気が良くなかったから、
布団を干しだしたりはしなかったでしょう?」
「そうだよね。」
順番じゃあなくて物干し場が使えない日でも
それならそれでと窓辺からとか、
晴れ間を見ては出来るだけ干し出すようにしているブッダなのだが、
先週からこっちは、
いつ降り出してもいいような、どんよりした空模様が多かった。
なので、問題の整理ダンスを入れた
押入れのメインの存在、
ほぼ毎日のように出し入れを欠かさない大物の蒲団は、
窓から外へという格好で室内圏外へまでは運び出されちゃあいないので、
「じゃあ、布団のどこかに引っかかってて
何かの弾み、外へ飛び出してる恐れまではないんだね。」
一番恐ろしい最悪事態だが、そこも大事と臆することなく。
即席探偵イエスが 確かめるようにブッダへ訊けば、
「うん。大丈夫。」
失くしたと気づいた、もとえ見失ってからこっち、
彼もまた押入れ周辺での動作や物の出し入れには気を配っていたらしく。
布団や何や、出し入れする際には、
さりげなくながら意識して神経を尖らせていたので、
そこまで運ばれたものはないというのも把握済み。
うんとしっかり頷いて、
「あれから毎晩毎朝、
上の段だけじゃなく、敷居から手前のスペースまで
何度も何度も眺めているんだけれど、
どこにも落ちてはいなくって。」
それこそ千里眼でも繰り出したかったところだろうに、
神通力を使うほどのどんな事態が出来しましたかなんて、
天界の誰ぞが様子見にでも来られてはかなわない。
そこのところの判断は利いてたらしく、
目視での確認を欠かさなかった彼が言うにはそんな現状だということで。
「だから、足元にあったのへ気づかずにいて、
そのまま蹴飛ばすとかして
どこかへ飛ばしてしまっているかもしれないってところだね。」
こちらもまた、さっきまでの気鬱顔はどこへやら、
随分と大胆なそれなれど、最も的確な“もしも”を繰り出すブッダなのへは、
「…ううう、それってきっと私の所業だね。」
注意していたブッダなら、爪先に何か触れただけでピンと来ただろうが、
何が起こっているか全く知らなんだイエスでは、
日頃の無頓着に何のセーブもかからないままであってもしょうがなく。
そんなことをやらかしてたらば ごめんなさいということか、
即席探偵が一転、悪意なき容疑者のような顔になって
申し訳ないことをと早々と謝っているのだから
世話がないというか他愛ないというか。(笑)
「あ、ああいやあの、そういう方向で気に病むことはないんだってば。」
しょんもりと肩を落としかかるイエスを前に、
責めたわけじゃあないんだよと、
慌てた様子で言いつのり、
「えっとぉ、それじゃあ私は、窓辺の方を探してみるね。」
それほど距離があるではないが、それでも数歩ほど先の腰高窓の傍までを、
足早に進み出てゆき、そのままその場へ膝を落とすと、
ブッダは自分の姿の写しでもある塑像、Jrの足元周りを覗き込む。
イエスから何か探し物かと問われること、
そしてそれへと答えることで…指輪の紛失を形にしたくはなかった余燼から、
今日の今日までいかにもな探し物のポーズをとれなかったものだから。
この辺りも立ったままのさりげなくしか見渡してはいない。
なので、台座の下へ転がり込んではないかという方向で、
それは丹念に見回し始めた彼であり、
“じゃあ私は…。”
しょむない落ち込みよ、さようなら…と思ったものか、
イエスもまた、指輪探しにいそしむことと意識を切り替えたものの、
“でも、大概の場所はブッダが掃除のついでに確かめてもいるんだろうしな。”
押入れの前から転げたブツが、果たしてどんな軌跡を描いてどこへ転がるものか。
押入れの下段の更なる奥へというのも考えられるが、
そっちは二人して、そう、冷風扇を出すついでに見てもいい。
ブッダが窓辺の方へ向かったので、というものでもなかったが、
じゃあ私はとイエスが薄い肩越しに振り返ったのが、キッチンスペースの取っ掛かり。
流し台の縁、さっきまでブッダをその懐へと掻い込んでいた位置から
視線をすすすと下ろして板張りを見下ろしたが、
“ここの動線も、
ブッダが それこそ食事の支度にって
立ったり屈んだりして余すことなく見回している場所だしなぁ。”
しゃがみ込んでいてもイエスから不審に思われぬ位置だとあって、
その動作の端々で何度も何度も確認していたに違いなく。
でもまあ、探し物というのは不思議なもので、
何度も“無い”と確かめたはずのなところに堂々とあったりもするものだ。
誰かさんの失くしたはずのカギだって…
“…今はその話は無し。///////”
そうですか、それでは触れずにおきましょう。(笑)
“それに、ブッダが無いと確かめた後に、
私の悪戯な爪先が居間からこちらへ蹴ったということもあるやもしれない。”
お髭を宿した顎先に手を添えて、
考え込んでいたのも ほんのしばしのこと。
ブッダと同じようにこちらは板張りになった短い廊下へ膝をつき、
流し台と小さめの配膳台つきのキッチンユニットの手前の床を、
舐めるように眺め回しておれば、
“お…。”
輪っかには違いないが、
先ほど買い物を整理していたブッダが落としたものか、
輪ゴムが1本落ちていたのへと目が留まる。
それを拾い上げかかったイエスの大きめの手が、
少しばかり掠めたのが、流しの下の扉の縁で。
二人分の食事用とはいえ、随分とバラエティに富んだあれこれを作り出すブッダが、
それは丁寧に使い込んでいる鍋や食器が整頓されて仕舞い込まれている場所であり。
衛生上、きっちり閉まるよに留め具がついている扉なだけに
そうそううっかり開いてもおらず、
よってそんな中へまで転げ込んではなかろと思いつつ、
じいと見やれば…向かい合わせの片やが浮き上がっている。
ということは、
“開いてる?”
一本だけ立てた人差し指でそおと押せば、
結構な抵抗があって閉まらないので、
何かが閊えていて扉が閉まらないでいるらしく。
鍋の取っ手か何かが
微妙にこちら側へはみ出してでもいるのかも。
限られた収納を器用に使いこなしている
整頓上手なブッダがそんなうっかりをそうそうしでかすとも思えないが、
この数日ほどだけは、
そうとは見せぬその内心で 焦燥に駆られていたらしいので、
気もそぞろになっていても不思議はない。
そんなこんなと思いを巡らせながら、
下端の角っこに指をかけ、ぱくんと引っ張り開けたれば。
“…おや。”
鍋やフライパンは ガスコンロを置いている側の台の下らしく、
こちらへは食器が並べられていて。
普段使いのは取り出しやすいようにか上の段の手前になっているけれど、
屈んでいたからか、下の段の手前にイエスの目がまずはと留まる。
収納が少ないフラットなので、
小麦粉だのパン粉だのパスタだのという
保存の利く買い置き食材も隅に寄せて同居させられており、
いやまあ、それはいいのだが。
「…ブッダ、これ。」
「なぁに?」
部屋の一角、四隅のうちの一つなせいでか、
ついついバッグだの古新聞の束などをその陰へ置いてしまう Jr.の周囲を
這いつくばるようにして念入りに覗き込んでいたブッダへ、
こっちはこっちで、お顔は見つけたものへと向けたまま、
イエスがやや低めた声をかけている。
内緒話か、それとも自信がないから声を張れない彼なのか。
今の今、何かから視線を外せないでいるのもそれと同じこと。
神の子であるにもかかわらず、奇跡の何かを見つけちゃったとでもいうものか、
あっち向いてこっち向いたら消えてしまうかもと恐れているかのように、
顔は収納庫の中へと向けたまま、
こちらも四つん這いに近い姿勢で腕だけ後背へ伸ばし、
おいでおいでとブッダを呼び招くイエスであり。
「? どうかしたの?」
探し物が見つかったのならこんな呼び方はしないよねと、
怪訝そうに、それでも呼ばれるまま、
窓辺から素直にとたとたと歩みを運んだブッダが、
同じように膝をつき、彼が見やっているものを覗き込む。
イエスの視線が向いていたのは普段使いの食器たちの一番左隅、
漬物や刺身へのしょうゆ皿というサイズの小さな小さな小皿が重ねられていて、
だが、その一番上には、
カップケーキのような大きさと形のパンがちょこんと乗っかっているではないか。
「…あれ?」
このところはイエスが歓喜の奇跡から生み出すパンも相殺されていて、
よってこんな風に食器と一緒に仕舞われているものに覚えはない。
というか、こんな端っこの食器は
久し振りな献立でも手がけぬ限り
“じゃあこれが要るな”と手を伸ばすこともないので、
視界に入っていなかったという方が正解かも。
「あ、もしかして、
キミが言ってた久々の自信作のネタが転変させたパンなのかなぁ。」
だっていうのに、上の空でいたブッダにはウケなかったらしいとかどうとか、
さっき話していたっけねと、
だったらごめんという意味も込め、眉を下げて申し訳ないという顔になったところが、
「…ブッダもいつからあるのか気がつかなかったのなら、もしかしてこれって。」
ひょいと持ち上げたすぐ下には、
ヤマギワパンのマスコット、ムーメンのイラストが覗いたから、
ああそっか、それっていつぞやに見学に行った時にもらったお土産だと気がついた。
それぞれでもらって2枚あったが、
この大きさの皿は今のところ手持ちで間に合っていたので、
使わないまま片隅に置きっぱなしになってたんだなぁと。
そうこう思うブッダの前、自分と彼との真ん中になるよう、
そのカップケーキ、もしくはマフィンのような形のパンを運ぶと、
「元に戻るの、待たなくてもいいよね?」
「え? あ、うん、いいよ。」
ツボにはまったイエスが転変させたパンは、
何かの拍子、元に戻ることもあるにはあるけれど、
それは“逆奇跡”であり、イエスが大層落ち込まねばいけないということで。
そんなの待つつもりないないと、
かぶりを振って見せたブッダににっこり笑い、
じゃあとパンを見つめたイエス。
四つん這い態勢から身を起こし、
パンの頂点と底とへ両の手の長い指を輪にするようにして引っかけて。
さして力も入れぬまま、あっさり二つに裂いたところが、
「……あ。」
何とも不思議なことには、
二つに裂かれたパンの真ん中あたり、
まるで特別製のパッキングに守られていたかのように、
見覚えのある銀のリングが収まっているではありませんか。
「…イエス、手品とか使った?」
「まさか、まさか。」
そうと訊かれて、今度はイエスが、
癖のある髪の裾を躍らせるほどの勢いつけてかぶりを振って見せ。
「大切な探し物の最中に
こういうおふざけをするような私じゃありませんたら。」
そもそも手品自体できないよぉと、
ふわふかなパンの中へ埋まっているリングをつまみ出し、
目の前へ掲げるように指先に持ち上げて
念のためにか ふっと息を吹きかけてパン屑を吹き払った彼だけど、
「でも…もしかして、
ブッダが探しても探しても見つからなかったのは、
こういう形でこの中にずっとあったからかもしれない。」
そう。
何かの拍子に、おそらくはイエスがここんと蹴ってしまって転がった指輪。
それがどういう巡り合わせか、扉が開いていた収納の中へと飛び込み、
更に、イエスの渾身の力作のネタでパンへ転変した
小皿の中へと取り込まれた…ということならば、
「それじゃあ見つけられっこないよねぇ。」
「えっとぉ。////////」
どこか手の届かぬところへ消え去ったわけじゃあなく、
こうして戻って来たは来たのだけれど。
愛しい人から送られた、大事な大事な宝物は、
その本人様の起こした奇跡に咥えこまれていたともいえて。
イエスが身を起こしたのに合わせ、
こちらも身を起して座り直していた釈迦牟尼様の、
すんなりきれいな手を取ると、
その薬指へとリングを丁寧に贈りなおしたヨシュア様、
「ごめんね。なんだか私、ブッダを困らせてばっかだね。」
眉を下げ、かすかに小首を傾げて
申し訳ありませんというお顔になった彼だったのへ。
「あ、ううん。それは、あのその…。/////////」
えっとぉ、あ・そうそう。
だって、キミがわざとに企んだことじゃあないのだしと、
何故だろか、振り回されてた側のブッダがそんな言いようをして庇ってから、
手を振ったことで視野へ収まった、件の指輪をまじまじと見やる。
ああ、なんか久し振り。
すごく間近にいたんだね。
なのに気がつかないでいてごめんね…と、
やさしいお顔をまろやかにほころばせ、
見るからに嬉しそうなブッダなのへ。
そんな会話でも交わしているのかなぁなんて、
向かい合ったままのイエスが、我がことの幸いのように笑顔で見守っておれば、
「…でもイエス。」
「んん?」
「キミ、焼きそばが載ったお皿で総菜パンとか作れちゃうの?」
「う〜んどうだろう。」
いつかやってみてほしいなぁ。
でもそれじゃあ、
冷蔵庫にしまってるような食器まで届くような
とびきりのネタを思いつかなきゃね、と。
結構なすったもんだだった割に、
他愛ないこと言い合って、
ころころと朗らかに笑ってござる。
そろそろ紫陽花も終わる頃合い、
入れ替わるよに裂き始める蓮の花なぞ
いつもの植物園まで観に行こうかなんて、
丸く収まったからこその明日の予定、
すぐにも話題に上らせるに違いなく。
梅雨もそろそろ終盤、
間近い夏に想いを馳せる最聖のお二人だったようでございます。
〜Fine〜 15.08.03.
*間が空いたせいか、何だか蛇足っぽい完結編となっちゃいましたね。
カレーが載った皿で、ぜひともカレーパンを作ってほしい
…なんていう思いつきが、このお話のきっかけだったなんて、
ここまで長引くと意味がないったらありゃしませんて。(とほほん)
落ち着いたら、続きというかその後というかも
書くと思いますので、どかお待ちを。
私信ぽいですが、A様の
“見つかるまではイエス様のをブッダ様が提げてりゃいい、
見つかったらそっちはイエス様のにしちゃえば…”という、
指輪交換みたいな解決策にも実は萌えました。
何てこと思いつくのですかあなた…vv
めーるふぉーむvv
掲示板&拍手レス

|